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語尾 IASISOSUSU のどれかをもつ語は動詞です。動詞は「何かをすること(動作)」や「ある状態にあること(状態)」を表します。

  • 定法動詞(定法) : 語尾 ASISOSUSU のいずれかをもつ動詞。文の中で述語として働きます。
  • 不定法 (不定詞): I-語尾をもつ動詞。これは述語にはならず、文の中でさまざまな別の役割を果たします。

定法動詞

定法動詞には3つの法があります: 直説法意志法 (命令法)そして仮定法です。

直説法

直説法とは現実に起こる行為や実際の状態を表すときに使う法です。直説法では、さらに 3つの時制を区別する必要があります: 現在時過去時未来時です。

現在時: AS-語尾

現在時動詞 (AS-語尾のある動詞) は「現実に起こっている/成り立っている」行為・状態で、すでに始まっているが、まだ終わってはいないことを表します。

  • laboras = 「働く」という動作は始まっていて、まだ終わっていません。
  • estas = 「ある」という状態は始まっていて、まだ終わっていません。
  • Mi sidas sur seĝo. - 私は椅子に座っている。

    「座っている」という状態は、実際のもので現在のもの。

  • Mi estas advokato. - 私は弁護士です。

    この職業は、実際のもので現在のもの。

  • Kvar kaj dek ok faras dudek du. - 4と18を足すと22になる。

    これは常に有効です。

  • Nun mi legas. - 今私は(本、新聞などを)読んでいます。

    「読んでいる」という行為は実際に今行われている。

  • Hodiaŭ mi studas Esperanton. - 今日わたしはエスペラントを研究している。

    こう話している瞬間には研究していないかもしれないが、今日の研究を始めていて、まだそれを終えていない。

  • En la vintro oni hejtas la fornojn. - 冬には暖炉に火をたく。

    これは毎冬、昔からもこれからも、そうする習慣を述べています。

  • Mi loĝas ĉi tie tri jarojn. - ここには3年住んでいる。

    3 年間すでに住んでおり、今もなお住み続けている、という継続を表します。

物語では、物語の進行中の時点を表すために AS 形が使われることがあります。この特殊な語り方は、話をより生き生きさせる効果があります。:

  • Ne suspektante ion li iradis tra la arbaro. Subite eksonas pafo. - 彼は何も疑わず森の中を歩き回っていた。すると突然、銃声が鳴り響く。

    最初は過去(iradis)で語り始め、途中から現在(eksonas)に切り替えることで、聞き手・読み手が「まさに目の前で起きている」かのように感じられるようにしているわけです。

過去時:IS語尾

IS 語尾の動詞は、「現実に起こったが、今より前の時点で起きた」行為・状態を表します。ふつう、その行為・状態はすでに終わっています。

  • laboris = 「働く」という動作は過去に起こった。
  • estis = 「ある」という状態は現在よりも早い時点に起こった。
  • Mi sidis tiam sur seĝo. - 私はその時椅子に座っていた。

    「座る」という動作は実際にその過去の時点に起こった。

  • Mi estis knabo. - 私は少年だった。

    この過去において実際に少年時代があった。

  • Hieraŭ mi renkontis vian filon, kaj li ĝentile salutis min. - 昨日、私はあなたの息子さんにお会いしました。彼は私に礼儀正しく挨拶しました。
  • Mi loĝis ĉi tie tri jarojn. - 私はここに三年間住んでいました。

    私の居住は三年間続きましたが、もはや続いていません。

過去の微妙な時間の違いを表したいときは、副詞などの追加語を使うこともできますし、複合時制を使うこともできます。もっとも、ほとんどの場合は単純な IS 形だけで十分です。

たまに、将来完了している予定のことを IS 形で言おうとしている例がありますが、これは誤りです。 その場合は OS 形を使うか、より厳密に言うなら estos ...inta を使います。❌️: Mi venos al vi, kiam mi finis mian taskon. ⭕️: Mi venos al vi, (post) kiam mi finos mian taskon. もしくは: Mi venos al vi, kiam mi estos fininta mian taskon.

未来時:OS語尾

OS 語尾の動詞は、「今の時点ではまだ始まっていない」行為・状態を表します。未来のことは常に不確かですが、OS 形は「話し手の見込みとして、本当に起こると思っている」未来を表します。

  • laboros = 「働く」という行為はまだ始まっていないが、これから始まる予定
  • estos = 「〜である」という状態はまだ始まっていないが、やがて実現すると見込んでいる
  • Mi sidos poste sur seĝo. - 私は後で椅子に座るつもりです。

    「座っている」という状態は、後で実際に起こるでしょう。

  • Mi estos riĉulo. - 私はお金持ちになるでしょう。

    「お金持ち」という状態は将来での状態です。

  • Mi rakontos al vi historion. - 私はあなたに歴史(いきさつ)をお話するでしょう。

    その話はまだ始まっていません。

  • Morgaŭ estos dimanĉo. - 明日は日曜日です。
  • Mi loĝos ĉi tie tri jarojn. - 私はここに三年間住むつもりです。

    まだ住み始めてはいませんが、住み始めれば 3 年間続けて住むつもりだ、という意味です。

意志法 (命令法): U-finaĵo

U-語尾を伴う動詞、という意志的な動詞は、その行為または状態が現実ではないが、欲望、意志、命令、もしくは、目的にされている、ということを示します。意志法はその行為の時制を示さないながらも、その行為が将来において通常に見つかります:

  • laboru = 「働く( labori )」という行為が、欲望、依頼、命令、または、目的にされています。
  • estu = 「~である( esti )」という状態が、欲望、依頼、命令、または、目的にされています。
  • Sidu sur seĝo! - 椅子に座っていなさい!

    命令または依頼

  • Estu viro! - 男であれ!

    命令または依頼

  • Ludoviko, donu al mi panon. - ルドヴィコ、私にパンをください。
  • Ni legu la unuan ĉapitron. - 第一章を読みましょう。

    願望の表現

  • Ĉu ni iru al la dancejo? - わたしたちみんなでダンスホールに行きませんか?

    意向についての問い。ただしこのような文の実際の意味は多くの場合、丁寧な提案です。次に挙げる丁寧な依頼と比較してください。

意志法においては主語 vi はよく省略されます: Venu tuj! = Vi venu tuj! しかしこの省略は主節でだけ可能で、従属節では省略できません。

ke 文の中の意志法

主節の内容が「意志・目的・希望・判断」などを表しているとき、それに続く keの中で U 形(意志法)が使われます。

  • Mi volas, ke vi laboru. - 私はあなたが働くように願います。

    その労働は願われています。

  • Li petas, ke mi estu atenta. - 彼は私に注意深くしているように頼みます。
  • Estas necese, ke ni nun unu fojon por ĉiam faru finon al tiu ĉi stato. - 私たちは今、一度きりでこの状態に永遠に終止符を打つ必要がある。

丁寧な依頼

自分の願いをより丁寧に言いたいときは、bonvolu + 不定法(I 形)を使います。さらに mi petas などの丁寧な表現を加えることもできます。

  • Bonvolu sidi ĉi tie! = Sidu ĉi tie, mi petas! - ここにお掛けください = ここにお掛けくださいますようお願いします。
  • Bonvolu fermi tiun ĉi fenestron! = Fermu la fenestron, mi petas! - この窓を閉めてください = この窓を閉めてください、お願いします。

ここで重要なのは、U 形を重ねないことです。❌️:Bonvolu sidu... とは言いません。

注意:一部の人は、代わりに bonvole ...U を使うことがあります:Bonvole sidu ĉi tie! これは理屈としては筋が通っていますが、一般的でも伝統的でもありません。

仮定法:US 語尾

US 語尾の動詞は、「現実ではない、想像上の行為や状態」を表します。US 形そのものは、時制(過去・現在・未来)を直接は表しません。

  • laborus = 「働く」という行動は、想像上のものです。
  • estus = 「~である」という状態は、想像上のものです。
  • Se mi estus riĉa, mi ne laborus. - 金持ちだったら、働かないね。

    非現実的で、想像上の状態や行動に関すること。

  • Se mi estus sana, mi estus feliĉa. - 健康だったら、幸福だったろうに。
  • Se mi nur loĝus en palaco! - 宮殿に住めれば!

    住むことは希望であるけれど、それは不可能であるということを理解していて、また現在の望みにすぎないということを理解している。

  • Mi ne farus la eraron, se li antaŭe dirus al mi la veron. - 彼がもし前もって私に真実を告げてくれていれば、私は間違わなかっただろうに。

    farusdirus もここでは過去の架空の行為について語っています。もしくは estus dirinta として、過去であることを示すこともできます。

仮定法は、もっと穏かに依頼や要望を提示するためにも使われます:

  • Mi dezirus aĉeti kelkajn aferojn. - 何点か買い物をしたいのですが。

    現実的な望みではあるけれど、丁寧に表現している例。

  • Ĉu mi povus havi la skribilon? - ペンを使ってもよろしいでしょうか?

    とても礼儀正しく丁寧な依頼。

  • Ĉu vi bonvolus paroli iom pli silente? - もう少し静かにお話いただけますか?

    とても礼儀正しく丁寧な依頼。

仮定法はよく、条件を示す小辞 se とともに使われますが、se があるからといって必ず US を使うとは限りません。大事なのは意味です。明らかに現実ではない想像なら US、現実かもしれない条件なら直説法です。

  • Se li estus ĉi tie, li certe mirus pri la malordo. - 彼がここにいたなら、彼はきっとこの混乱に驚いていただろう。

    彼がここにいないことは分かっているけれど、もし彼がここにいたならば、彼も驚いていただろう。

  • Se li estas ĉi tie, li certe miras pri la malordo. - 彼がここにいるとすれば、この混乱にきっと驚いているに違いない。

    彼がここにいるかわからないが、いる可能性がある。そうであれば彼は実際に驚いてもいる。

いくつかの言語では、仮定法が「かつて予定されていたはずのこと」を表すのに使われますが、エスペラントではそれを estis ...onta または estis ...ota という複合時制で表します。

不定法

不定法 (I 語尾のある動詞) は、「行為や状態そのものの名前」を表します。不定法は、それが現実か想像か意志か、またどの時制かを区別しません。不定法は伝統的に動詞の基本形とみなされます。そのため、辞書には動詞は不定法の形で載っています。

不定法は、行為を表す名詞に似ています: labori = 労働という行為の概念; esti = ある状態の概念。ただし完全に同じではありません

不定法は、文の中で本来名詞が置かれる位置(主語・目的語・pri-状況語など)に現れます: Morti pro la patrujo estas agrable. Malbonaj infanoj amas turmenti bestojn. Kiu kuraĝas rajdi sur leono?

場合によっては、不定法の前に前置詞が来ることもあります: Unu fajrero estas sufiĉa, por eksplodigi pulvon. ただし、不定法は N 語尾も J 語尾もとらないことに注意してください。

不定法も、述語動詞と同じように、目的語・副詞的な句などを伴うことができます。この点で、不定法もやはり「動詞」であると言えます:

  • manĝi rapide - 素早く食べること

    この不定法は、方法から来る副詞的な状況語を持っています。

  • poste manĝi - 後で食べること。

    この不定法は、時間から来る副詞的な状況語を持っています。

  • manĝi pomon - りんごを食べること。

    不定詞は目的語を取ることができます。

ただし、不定法は固有の(文法上の)主語をとることはできません。つまり: ❌️ mi manĝi, ❌️la knabino esti のような言い方はできません。もっとも、多くの場合には「文脈上の主語」、つまり意味上の主語が暗黙のうちに存在します。

多くの(すべてではありませんが)不定法は、意味としては「〜ということだ」という ke-節とほぼ同じ内容を短く言い表したものと考えられます:

  • Mi ĝojas vin vidi! = Mi ĝojas, ke mi vin vidas! - 私はあなたに会えて嬉しく思う! = 私は、あなたに会う、ということを嬉しく思う!
  • Mi vidis la knabon kuri. = Mi vidis, ke la knabo kuras. - 私は、その少年が走っているのを見た。 = 私は、その少年が走っている、ということを見た。

不定法が主語になる場合

不定法は、その行為がどういう性質かを言いたいとき、文の中で 主語として働くことがあります。このとき述語は、たいてい esti です:

  • Resti kun leono estas danĝere. - ライオンと共に留まることは危険だ。

    危険なのは、ライオンと一緒にとどまるという行為です。Danĝereresti の述語補語であり、動詞を説明しているので E 語尾になっています。

  • Kritiki estas facile, fari [estas] malfacile. - 批判することは簡単で、行うことは困難[だ]。

    ここで「易しい」のは kritiki という行為、「難しい」のは、 fari という行為です。

不定法と述語動詞が一緒に出る場合

不定法は、しばしば別の述語動詞と一緒に用いられ、その動詞に「従属」します。

  • Mi povas kuri. - 私は走ることができます。
  • Li volis veni. - 彼は来ることを望んだ。
  • Ili devis cedi. - 彼らは降伏することをしなければならなかった。
  • En varmega tago mi amas promeni en arbaro....amas promenon... - 暖かい日には森の中を散歩するのが好きだ。= ...散歩が好きだ...
  • Ŝi komencis senti doloron kaj rigidiĝon.Ŝi komencis sentadon de doloro... - 彼女は、痛みと強張りを感じることを始めた。 ≈ 彼女は痛み...の感情を始めた。
  • Li ŝajnis subite kompreni. = Li ŝajnis subite komprenanta... - 彼は突然理解したように見えた。= 彼は突然理解し始めたように見えた。

    この不定法は主語 li の補語です。

  • Nun ili ĉiuj iris dormi. = ...iris por dormi. - 今彼ら全員眠りに行きました。= ...眠るために行きました。

    不定法が por-状況語として働く場合、前置詞 por はふつう省略します。

  • Ŝi tuj kuris bati ŝin. = ...kuris por bati ŝin. - 彼女は直ちに彼女(別の女性)を叩きに駆け出した。= ...彼女を叩くために駆け出した。
  • Kaj vi ne hontas fanfaroni per ĉi tio?...hontas pri fanfaronado... - あなたもこのことで自慢することを恥じないのか? ≈ ...自慢について恥じる...

    ここで不定法 fanfaroni は、本来 pri の付くべき内容を表していますが、不定法が pri-状況語として働くとき、前置詞 pri は常に省略されます。

  • Feliĉe mi sukcesis ekbruligi la fajron....sukcesis pri ekbruligado de la fajro. - 幸いにも私は火をつけるのに成功した。= ...着火に成功した。

上の例では、不定法の意味上の主語は、いつも述語動詞の主語と同じでした。しかし、別の主語をもつ不定法もあります。

ある種の動詞は、「他人の行為に影響を与えること」を意味します。 たとえば次のような動詞です。(mal)permesi, ordoni, doni, destini, peti, instrui, instrukcii, devigi, lasi, inviti, voki, sendi, (mal)konsili, komandi, konvinki, persvadi, memorigi, 並びに (mal)rekomendi です。こうした動詞では、「影響を受ける人(あるいは物)」は、al+名詞 や 対格(N)目的語として現れます。そのような動詞と一緒に不定法が現れるとき、不定法の意味上の主語は、その「影響を受ける人・物」です。

  • Mi malpermesis al li fari tion. - 私は彼がそうするのを許しませんでした。

    fariの主語はilです。

  • Ili ordonis al mi veni antaŭ la vesperiĝo. - 彼らは私に夕べ前に来るように命じました。

    veni(来る)の主語は、mi(私)です。

  • La reĝo Aĥaŝveroŝ ordonis venigi al li la reĝinon Vaŝti. - アハシュエロス王は、彼へワシュティ女王を連れてくるよう命令した。

    venigi の主語は、この王が命令した人です。彼らは文の中では暗示されていますが、明示的に書くなら ...ordonis al iuj venigi... のように al 句としても表せます。

  • Mi petas vin trinki. = Mi petas vin, ke vi trinku. - Mi petas vin trinki.(飲んでください) = Mi petas vin, ke vi trinku.(私はあなたが飲むようにお願いします)。

なお promesi は、この語群に属しません: Mi promesis al li veni al la festo. = Mi promesis al li, ke mi venos al la festo. 。ここで不定法 veni の意味上の主語は、述語の動詞かの主語 mi です。

述語動詞が vidi, aŭdi, senti, imagi などの「見る・聞く・感じる・思い描く」系統の意味をもつとき、不定法が目的語の補語として現れることがあります。この場合、その目的語が不定法の意味上の主語になります。

  • Mi vidis la knabon kuri. - 私は少年が走るのを見た。

    kurila knabon の補語で、 vidis の目的語です。 kuri の主語は la knabo です。 = Mi vidis la knabon kuranta. Mi vidis, ke la knabo kuras.

  • Mi hodiaŭ matene vidis danci miajn knabinojn. - 私は今朝、私の少女たちが踊っているのを見た。

    踊っていたのは、少女たちだった。

補足語としての不定法

不定法は、名詞や形容詞の後置補足語になります:

  • Forte min doloras la nepovado helpi vin sur via malfacila vojo. = Forte min doloras, ke mi ne povas helpi vin... - あなたの困難な道のりであなたを助けられないことは、私の苦しみである。
  • Mi ricevas grandan deziron edziĝi. = Mi ekdeziregas edziĝi. - 私は、夫になるという大きな欲望を受けている。 = 私は、夫になることの野望を持ち始める。
  • Lia propono elekti novan prezidanton ne estis akceptita. - 新しい大統領を選ぶという彼の提案は、受け入れられなかった。
  • Vi havis nenian rajton paroli al mi en tia maniero. - あなたは、そのような方法で私へ話すという、どのような権利も持っていなかった。
  • Ŝi ricevis la taskon trovi trinkaĵon. = ...la taskon, ke ŝi trovu trinkaĵon. - 彼女は、飲み物を見つけるというその任務を受けた。 = 彼女が飲み物を見つけよ、というその任務を...
  • Mi estas kapabla instrui nur la francan lingvon. ...kapablas instrui... - 私は、フランス語のみを教える能力がある。 = ...教えることの能力を持っている。
  • Mi estas preta iri por vi piede al la fino de la mondo. - 私は、あなたのために足で世界の果てへ向かうという準備ができている。

前置詞と不定法

ふつうは、不定法の文の役割(主語か目的語か、など)は文脈で分かるので、特に前置詞で示さないままにしておきます。しかし、ときには不定法の文中の役割を、前置詞ではっきり示した方がよいこともあります。その場合、伝統的に infinitivo の前に置ける前置詞として認められているのは por, anstataŭkrom の 3 つです。最近では sen も不定法の前によく使われるようになってきています。

  • Ni ĉiuj kunvenis, por priparoli tre gravan aferon. - 私たち全ては、とても重大なことを話すために集まった。

    不定法の意味上の主語が述語の主語と同じときに、por + 不定法 がよく使われます。一方で、述語と不定法の意味上の主語が違う場合は、しばしば 前置詞なしの不定法が使われます。: Ŝi invitis min trinki kafon. = ...por ke mi trinku kafon. 。また、 irikuri といった移動の動詞の後ろには、主語が同じであっても por なしの不定法が好まれます: Mi iros ripozi. = Mi iros por ripozi.

  • Ĉi tie ne ekzistas akvo por trinki.Ĉi tie ne ekzistas trinkebla/trinkota akvo. - ここには飲み水がない。

    不定法が名詞の補足語として使われるときは、意味上の主語が誰であっても、一律に por + 不定法 を使います。

  • En la domo estas jam nenio por manĝi. - 家の中には食べるものは既に全くない。
  • La aliaj anasoj preferis naĝadi en la kanaloj, anstataŭ viziti ŝin. - 他のアヒルたちは、彼女を訪れる代わりに、その水路で泳ぎ続ける方を好んだ。
  • Vi nenion povas fari krom kunbati viajn dentojn. - あなたは、歯を食いしばる以外に何もできない。
  • Ne ekzistas alia bono por la homo, krom manĝi kaj trinki. - その人にとって、食べることと飲むこと以外の他の良さは存在しない。
  • Tion mi ne povus fari sen detrui mian reputacion. = ...sen detruo de mia reputacio / ... ne detruante mian reputacion. - そのことに、私の評判を損なうことなしで私はできないのに。 = 私の評判の損失なしで... / 私の評判を損なわないで...。
  • Sen manĝi kaj trinki oni ne povas vivi. = Sen manĝado kaj trinkado... - 食べることと飲むことなしに、生きることはできない。 = 食べる行動と飲む行動なしで、...

antaŭ と不定法との間に、比較小辞 ol を置く決まりがあります。

  • Oni devas iri longan distancon, antaŭ ol veni al la rivero. = ...antaŭ ol oni venas al la rivero. - その川に来ることの前に、長い距離を進まねばならない。 = その川に来る前に...
  • Antaŭ ol foriri li ŝlosis la pordon. = Antaŭ ol li foriris... - (彼が)去ることの前に、彼はその扉を施錠した。 = 彼が去る前に、...

ほかの前置詞を不定法の前に使うことも、論理的にまったく不可能ではありませんが、使い慣れない形なので、誤解や戸惑いを招きやすくなります。

述語のように働く不定法

ときどき、文全体(あるいは従属節)が、不定法だけを動詞として持つ例が見られます。この場合、不定法は意味として 意志法povi を伴う表現に相当します。:

  • Grandega hundo metis sur min sian antaŭan piedegon, kaj mi de teruro ne sciis, kion fari. = ...kion mi faru. - 巨大な犬が私の上へ自身の前足を乗せた、そして、恐怖から来る私は何をすべきかわからなかった。 = 何を私がしたいか...。
  • Mi efektive jam ne scias, kiel ĝin klarigi. = ...kiel mi ĝin klarigu. - 私は、それをどのように説明するのか、実際にもうわからない。 = 私がそれをどのように説明したいのか、...。
  • Ili ne havas, kion manĝi, ili ne havas, per kio hejti la fornon. = Ili ne havas (ion), kion ili/oni povus manĝi, ili ne havas (ion), per kio ili povus hejti la fornon. - 彼らは食べるものを持っていない、彼らはオーブンを加熱するものを持っていない。 = 彼らは、彼らまたは一般人が食べられる(何かの)ものを持っていない、彼らは、オーブンを加熱できる(何かの)ものを持っていない。
  • Mi havis tiam apud mia domo foson, kiu, se preni la plej malmulte, havis almenaŭ ok futojn da larĝeco. = ...se oni prenu la plej malmulte... - 私は、その時に私の家のそばに、最小限に抑えていれば少なくとも8フィートの幅を持つ堀を持っていた。 = ...最小限に抑えたいならば...
  • Ĉu esti aŭ ne esti, — tiel staras nun la demando. = Ĉu mi estu aŭ ne estu... - 生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。 = 私が存在したいのか、したくないのか、...
  • Kion fari? = Kion oni/mi/vi faru? - 何をすべきか/どうしたらよいか

また、ときには、命令の U 形のかわりに不定法が使われることもあります。この場合、命令は「丁寧/ぞんざい」という色合いを離れ、単に「当然そうするべきだ」という中立的な確認というニュアンスになります。ここでの不定法の意味上の主語は、広い意味での oni です。この用法はさほど頻繁ではありません: Nur prunti, sed ne restigi al si! = Oni povas nur prunti... 。U 形で命令するかわりに、 話し手は自分の意志を「否定しがたい事実の宣言」として述べているのです。 Por landoj ne menciitaj en la listo sin turni al LF-KOOP, Svislando. 。これは、「LF-KOOP にどう連絡すべきか」という手続きについての、単純な指示の表明です。

不定法と行為の名詞

不定法と 行為を表す名詞(aga substantivo) は似ていますが、両者には大事な違いがあります。 ・不定法は、必ず意味上の主語をもっています。多くの場合それは、文の述語動詞の主語と同じ人物です。 ・行為名詞は、どんな主語からも独立しています。「誰が行うか」を問わず、その行為そのものを名詞として表します。 そのため、ある文で不定法を行為名詞に置き換えると、文の意味が変わることがあります。

  • Malbonaj infanoj amas turmenti bestojn. = Ili amas, kiam ili mem turmentas bestojn. - 悪い子供は、動物に苦痛を与えることが大好きだ。 = 彼らは、彼ら自身が動物に苦痛を与える時に大好きである。
  • Malbonaj infanoj amas turmentadon de bestoj. = Ili amas turmentadon de bestoj, ĉu ili mem turmentas, ĉu iu alia turmentas. - 悪い子供は、動物の拷問が大好きだ。 = 彼らは、彼ら自身が苦痛を与えるか、他の誰かが苦痛を与えるかによらず、動物の拷問が大好きだ。
  • Mi promesis amuziĝi. = Mi promesis, ke ĝuste mi amuziĝos. - 私は楽しむことを約束した。 = 私は、確かに私が楽しむつもりだ、ということを約束した。
  • Mi promesis amuziĝon. = Mi promesis, ke okazos amuziĝo. - 私は、楽しくなることを約束した。 = 私は、楽しくなることが起きるつもりだ、ということを約束した。

    ここでは、「誰が楽しむか」は問題になっていません。

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